導入背景
関西地域でファミリー層を中心に診療を行うこの歯科クリニックは、一般歯科に加えて予防歯科にも力を入れており、診療ユニット4台に対して受付スタッフは2名という体制で日々の予約・問い合わせ対応にあたっていました。受付スタッフは診療のサポート業務と電話対応を兼務しており、繁忙時間帯には対応が追いつかないことが課題になっていました。
導入前の課題
1日あたり30〜40件ほどの電話がかかってきており、そのうち初診予約と予約変更が全体の6割ほどを占めていました。診療中は歯科医師・歯科衛生士ともに電話に出ることができず、受付スタッフに対応が集中します。特に初診の問い合わせは、症状や希望日時の聞き取りに時間がかかり、1件あたりの対応時間が長くなる傾向がありました。受付が2名という限られた体制の中で、来院中の患者さんへの対応と電話対応を同時にこなす場面も多く、どちらかが手薄になりがちでした。問い合わせは昼休み前後に集中する傾向があり、この時間帯は特に手が回らなくなります。また、診療終了後にかかってくる予約希望の電話には対応できておらず、翌診療日まで折り返しができないケースもありました。
クリニックが所在するエリアには外国人住民の方も多く、電話での予約問い合わせをいただくことも一定数ありました。しかし、外国語で電話対応できるスタッフが限られており、言語面への不安から十分に対応しきれないケースもありました。
導入検討プロセス
まず1か月間、入電件数と対応内容を記録し、初診予約・予約変更・問い合わせがどの時間帯に集中しているかを可視化しました。その結果、診療開始直後と昼休み前後に電話が集中していること、初診の問い合わせが全体の3割以上を占めることが数字で裏付けられました。この結果をもとに、電話代行サービスとAI電話サービスの両方を比較しましたが、医療機関特有の「症状に関する相談には対応させない」という制約を柔軟に設定できるかどうかを重視して検討を進めました。
DenwaFlowを選んだ理由
最大の決め手は、AIが回答してよい範囲と、回答してはいけない範囲を個別に設計できる点でした。症状や治療方針に関する相談は必ず人へ引き継ぐ設計とし、初診予約や診療時間の案内など、あらかじめ回答が決まっている内容だけをAIに任せる構成を提案してもらえたことで、院内の導入合意を得やすくなりました。既存の予約システムとの連携についても、事前に仕様を確認したうえで無理のない範囲から始められる点を評価しています。
導入内容
現在の代表番号からDenwaFlowへ転送する形で導入し、AIによる新規予約受付(初診・再診)、予約変更受付、診療時間やアクセスに関する問い合わせの一次対応を行っています。受け付けた予約情報は既存の予約システムへ登録され、受付スタッフには受付内容の通知が届きます。症状に関する相談や、緊急性が疑われる内容があった場合は、受付スタッフへの取り次ぎに切り替わる設計です。夜間・休診日も同じ体制で稼働しており、24時間予約を受け付けられる状態になっています。
導入スケジュール
| フェーズ | 内容 |
|---|---|
| 課題整理 | 入電件数・時間帯・内訳を1か月間記録し、対応範囲を検討 |
| 試験導入 | 診療時間外・昼休みなど、限定した時間帯からAI対応を開始 |
| 運用開始 | 通知フローと折り返し条件を調整し、終日の運用に移行 |
| 本格展開 | 初診予約・変更・問い合わせ全体に対応範囲を拡大 |
導入成果
- ✅ 電話対応業務を約60%削減
- ✅ 24時間の予約受付に対応
- ✅ 初診予約の取りこぼしを削減
- ✅ 受付業務の負担を軽減
- ✅ 患者対応の質が向上
- ✅ 英語・中国語による電話予約受付に対応
- ✅ 外国人患者からの予約機会を拡大
- ✅ 受付スタッフの外国語対応負担を軽減
導入後の成果
導入から半年間の運用実績を集計したところ、受付スタッフが電話対応に費やしていた業務時間は約60%削減されました。診療時間外にかかってくる予約希望の電話にも対応できるようになり、初診予約の取りこぼしは目に見えて減っています。受付スタッフからは「来院中の患者さんへの対応に集中できるようになった」という声が上がっており、患者さんアンケートでも電話のつながりやすさに関する評価が改善しています。
DenwaFlow導入後は、患者さんの利用言語に応じて案内を切り替えられるようになり、英語や中国語による予約受付にも対応できるようになりました。受付スタッフが外国語対応に身構える負担が減っただけでなく、これまで受け止めきれなかった問い合わせにも対応できるようになっています。
電話対応時間の変化
| 項目 | 導入前 | 導入後 | 削減率 |
|---|---|---|---|
| 電話対応時間(受付スタッフ・1日あたり) | 約4時間 | 約1.5時間 | 約60% |
院長コメント
正直に言うと、導入前は「症状の相談まで機械が変な対応をしてしまわないか」という不安がありました。ただ実際に運用してみると、AIが答えていい範囲をこちらで細かく決められるので、思っていたより安心して任せられています。以前は電話が鳴るたびに受付がバタバタして、目の前の患者さんをお待たせすることもありました。今は初診の予約や日程変更の電話をAIが受けてくれるので、受付スタッフが患者さん対応に集中できるようになりました。最初の数週間は変な受け答えをしないか確認する日々でしたが、その不安も徐々に解消されていきました。
以前は外国人の患者さんから電話をいただくと、英語で対応できるスタッフがいるかを確認する必要がありました。今はAIが予約受付を行ってくれるので、言語面を気にせず予約を受け付けられるようになっています。(院長)
今後の展望
現在は初診予約と予約変更の受付が中心ですが、今後は定期検診のリマインド案内など、電話以外の接点も含めた活用を検討しています。院内の運用状況を見ながら、AIが対応する範囲を段階的に広げていく方針です。